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一般皮膚科

皮膚の役割

一般皮膚科画像

皮膚科学は皮膚の状態やそこに生じた変化について研究する学問です。では、皮膚にはどのような特徴があるでしょうか。皮膚は人体の表面を覆っている巨大な臓器で、個体と外界の境をなすものです。そこから想像される皮膚の役割とは、“外からの刺激から体を守る”“外界の有害なものが体内に侵入するのを防ぐ”ことでしょう。確かに物理的な刺激や寒冷刺激、紫外線、風雨といったものから体を守るということは大事な役目です。しかし、同時に体から大事な水分が出ていってしまわないように守っているということもあります。つまり、外から体を守るバリアであるのと同時に、中から出ていくのを防ぐバリアでもあるのです。バリア機能の一番外側を担っているのは皮脂膜という油の膜です。表面の油が外から入ってくるものをはじくのと同時に皮膚の水分が出ていかないように蓋をしているのです。他にもバリア機能を担っているものはいろいろあります。そして、最近では物理的に防御する仕組み以外に免疫学的に外敵を排除する機能も持っていることが明らかになってきました。皮膚は単なる物理的な膜ではなく、免疫臓器でもあるのです。ですから、接触アレルギー(いわゆる“かぶれ”)や経皮感作による食物アレルギーなど皮膚が関連するアレルギーにはいろいろなものがあります。

皮膚科学

皮膚の正常な機能から病的変化まで、皮膚について研究し明らかにしていくのが皮膚科学です。

現在の皮膚科学は19世紀のヨーロッパで始まった皮膚の形態学的探究を基礎にしています。つまり、見た目の色や形を記載して、その特徴をもって分類するという方法です。それに加えて近代医学の発達は病気の原因を明らかにしてきました。現在の皮膚科学は見た目の特徴と検査による原因の同定をあわせて分類に反映させるという方向で進んでいます。
“皮膚は内臓の鏡”という言葉がありますが、内臓の病気から皮膚に症状が出ることがあります。したがって、皮膚科学を学ぶことは全身の病気につながっていきます。前回書いたように皮膚は免疫の臓器ですから、特に免疫学的異常は皮膚に症状が出ることがあります。蕁麻疹も湿疹も広い意味での免疫学的異常といえるでしょう。

皮膚科では次のような症状・疾患の診療を行っています

臨床医学の一分野である皮膚科学を基礎に、皮膚や皮下組織、皮膚附属器(毛や爪など)に生じた異常を扱うのが皮膚科という診療科です。ですから、皮膚に何らかの変化があれば、それは皮膚科の守備範囲です。口の中ものど(咽頭、喉頭)は耳鼻咽喉科、歯は歯科ですがそれ以外は皮膚科で診療します。外陰部は泌尿器科や婦人科、肛門は肛門外科との境界領域ですが、外側、表面に変化があれば皮膚科で診療します。深さでいうと、皮膚科では皮膚から皮下組織までが守備範囲です。腱や骨になると整形外科です。
皮膚に変化が現れる病気には全身的な疾患もたくさんあります。“皮膚病だから皮膚だけでしょう”“皮膚に何かできても命にかかわるわけじゃないでしょう”というわけではありません。皮膚科では他の診療科との連携も重視しています。受診されるときは他の科でもらったお薬手帳や検査結果を持参されるとよいと思います。
皮膚にも他の臓器と同じように“がん”ができます。皮膚がんにはいろいろな種類があって、比較的予後が良いものから命にかかわる重大なものまでさまざまです。早期発見、早期治療が大事です。
皮膚は眼で見える臓器ですから、異常は早い段階で自分あるいは家族がみつけることができます。何か気になる変化をみつけたらできるだけ早く皮膚科を受診しましょう。
以下に皮膚科が扱う病気で代表的なものを列記しておきます。

湿疹・皮膚炎など
皮脂欠乏性湿疹、老人性乾皮症、脂漏性皮膚炎、虫刺され、痒疹、手湿疹、乳児湿疹、汗疹(あせも)など
アレルギー関連疾患
アトピー性皮膚炎、薬疹、接触皮膚炎(かぶれ)、じんましんなど
感染性疾患
伝染性膿痂疹(とびひ)、せつ(おでき)、蜂窩織炎、丹毒、疣贅(いぼ)、伝染性軟属腫(みずいぼ)、白癬(みずむし、たむし)、ヘルペス、帯状疱疹、手足口病など
物理的障害・外傷
熱傷(やけど)、凍瘡(しもやけ)、胼胝(たこ)、鶏眼(うおのめ)など
色素異常症・母斑性疾患(あざ)、腫瘍性疾患(できもの)
白斑(しろなまず)、色素性母斑(ほくろ)、老人性色素斑(しみ)、肝斑、脂漏性角化症(老人性いぼ)、粉瘤、皮膚がんなど
附属器疾患
ざ瘡(にきび)、円形脱毛症、壮年性脱毛症(AGA)、陥入爪(さし爪、巻き爪)など
炎症性角化症、膿疱症
乾癬、掌蹠膿疱症など
自己免疫疾患
天疱瘡、類天疱瘡、強皮症、亜急性皮膚エリテマトーデスなど

湿疹

湿疹とはよく聞く用語ですが、一般的には“皮膚の痒いできもので原因がはっきりしないもの”というようなニュアンスで使われることが多いのではないでしょうか。湿疹と皮膚炎は同じような意味で使われることが多く、一連の疾患を“湿疹皮膚炎群”と総称します。かなり古典的な考え方ですが、症状としては、“湿疹三角形”と呼ばれる経過が典型的とされています。最初に、皮膚の赤み(紅斑)から始まり、盛り上がった点状のブツブツ(丘疹)、小さな水ぶくれ(小水疱)ができ、場合によっては膿をもつようになります(膿疱)。その後はかさかさと剥ける(落屑)という状態から治癒に向かいます。場合によっては、ジュクジュクとただれた状態(びらん・潰瘍)になって、かさぶた(痂皮)を経由して治癒することもあります。一般的にはこれらの症状が混在して見られます。また、症状が慢性化すると、皮膚が厚くなり粗くザラザラの状態(苔癬化)になることがあります。これが慢性湿疹です。また、湿疹がひどくなると、後に炎症後の色素沈着を残すので早めに治療するのが良いでしょう。
ちょっと専門的な話になりますが、この“湿疹皮膚炎群”の病理組織像は表皮の海綿状態を中心としますから、診断に困ったときは皮膚生検が役に立ちます。

手湿疹

アルコール消毒の機会が増えているためか、”手の荒れ”を生じている方が増えています。
”手荒れ”の症状は主に乾燥、亀裂、落屑でありかゆみや痛みを感じます。悪化するとただれて浸出液が出ることもあります。
手は常に露出しており、使うことによって刺激を受け続けています。それが手荒れの一番の要因です。中でも原因として多いのは”水仕事”です。洗剤による刺激もありますが、濡れること、乾くことの繰り返しが皮膚にダメージを与えます。特に濡れたままにしておいて自然に乾燥させるのがよくありません。表面の水分が蒸発するとき、皮膚の水分を一緒に奪っていくからです。私は、”水で洗うよりお湯で洗う方が荒れやすい”というのは、水を使った場合は冷たいのですぐにふき取るけれど、お湯を使った場合、すぐに拭かずに自然乾燥させてしまうからではないかと考えています。濡れたらすぐに丁寧に水分を拭き取るようにする習慣をつけるのがよいと思います。
もうひとつ多いのは汗の刺激に関連して指の横などに小さな水疱ができたり、そこから剥けてきたりする”汗疱”、”異汗性湿疹”です。手のひらは暑くて汗をかくというよりは、神経による発汗、つまり緊張したりして汗をかきます。”汗疱”は誰でもたまになりますが、特に緊張を強いられる仕事の人や神経質な人に多いとされています。金属アレルギーとの関係があるとの説もありますが、はっきりしていません。刺激すると悪化しますので、水疱をつぶしたり皮を剥いたりするのはやめましょう。
ひどい手荒れはアレルギー性のかぶれ、”接触皮膚炎”である可能性があります。これが疑われた場合は”パッチテスト”で原因がわかることもあります。心配な時はご相談ください。
治療としては、まず原因となる刺激を避けることが重要です。皮膚の炎症を抑えるためにステロイド外用剤を使用、かゆみが強い場合は抗ヒスタミンの内服薬を使用するとよく効きますが、“手を休めること”“保湿剤などで保護すること”が重要です。

接触皮膚炎(かぶれ)

一般的に「かぶれ」と呼ばれるます。広い意味では外からの刺激による皮膚炎ですが、刺激物質による“一次刺激性接触皮膚炎”と接触アレルギーによる“アレルギー性接触皮膚炎”があります。狭い意味では“アレルギー性接触皮膚炎”の方をさします。
原因となる物質(アレルゲン)としては、化粧品、毛染めなどの日用品や、ウルシ、イチョウなどの植物、アクセサリーなどの金属類、樹脂やゴム、外用薬や目薬などいろいろなものが考えられます。特殊なものとしては、湿布薬など、特定の物質に触れた部分に紫外線が当たって発症する光接触性皮膚炎があります。
注意する必要があるのは、“接触アレルギー”が“遅延型”の反応であることです。アレルゲンが接触してから症状が出てピークになるまで2,3日かかります。原因を考えるときは2,3日さかのぼって何か触れていないか思い出す必要があります。
治療としてはまず、原因物質との接触を断つことが重要です。原因物質の同定にはパッチテスト(原因と疑われる物質を皮膚に貼付して反応を見る検査)が有用です。炎症の程度に応じてステロイド薬の外用や、かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬内服で治療しますが、重症の場合はステロイド薬の内服も適用になります。早めに受診してください。

蕁麻疹(じんましん)

“じんましん”は“かゆみ”とともに赤く盛り上がる発疹“膨疹”が突然出て、出没を繰り返す病気です。一度出た発疹は数時間から半日程度で消えますが別のところにまた出てきます。
”じんましん”の原因は何でしょう?かつては”肝臓が悪いんじゃない?”といわれたりしましたが、現在では肝臓の障害との密接な関係は否定されています。
”何かのアレルギーでしょ?”と考える方は多いのではないでしょうか。
実は、何かのアレルギーで出るじんましんは稀です。じんましんの7割以上は”特定の原因がありません。
3割弱を占める特定の原因で出る”じんましん”には、熱の刺激で出る温熱じんましんや寒冷刺激で出る寒冷じんましん、汗の刺激などで出るコリン性じんましん、日光に当たると出る日光じんましんなども含まれます。なので、食物や薬物のアレルギーで出るじんましんはかなり稀といってもよいでしょう。
アレルギーで出るじんましんは即時型の反応ですから、特定のアレルゲンが入ってきてから症状が出るまでは15分から30分程度しかかかりません。多くの場合”あ、さっき食べたものが原因かな?”と自分ですぐに気づきます。特定の原因が思いつかないような場合は7割以上を占める”特定の原因がないじんましん”と考えた方がよいでしょう。

どのタイプのじんましんも、症状を引き起こすのは肥満細胞(マスト細胞)が放出するヒスタミンという化学物質です。これを抑える抗ヒスタミン薬が有効ですので、早めにご相談ください。

にきび(尋常性ざ瘡)

「にきび」は、毛包、つまり毛穴の炎症です。「尋常性ざ瘡」が医学的な疾患名で、主に思春期から青年期によくみられます。「大人のにきび」は、吹き出物ともいわれますが、基本的には同じものです。できやすい場所は若い人はおでこから頬に多く、大人になるとだんだん口の周りや顎にできるようになります。その理由はよくわかっていません。
「にきび」はどうしてできるのでしょうか?皮膚の表面は水分が逃げないように皮脂膜という脂の膜で覆われています。その脂は皮脂腺でつくられますが、皮脂腺は導管を経て毛包、すなわち毛穴につながっているため、皮脂は毛穴から外に出る仕組みになっています。
ですから、毛穴の出口が詰まってしまうとすぐに毛穴に皮脂が溜まってしまいます。これが「にきび」の始まりです。この皮脂を常在菌である「アクネ菌」が分解すると炎症を起こす物質ができて、赤い発疹となったのが「にきび」です。特に思春期は、皮脂の分泌を高める男性ホルモンの「アンドロゲン」が増加することで、にきびができやすくなるのです。
ですから、「にきび」をできにくくするには、皮脂の分泌が亢進しないようにストレスを減らしたり、健康的な食生活を心がけたりすることが必要です。また、毛穴が詰まらないように洗顔することや、「にきび」ができにくい化粧品を選ぶなどのスキンケアにも心がけるのがよいでしょう。
「にきび」の治療は、わが国では長い間有効な薬剤が保険適用とならずに放置されていましたが、近年では外国で使われてきた効果の高い薬剤も使えるようになっています。「にきび」ができやすい人でも、根気よく治療することでできにくくすることができます。
炎症がひどくなってしまうと跡が残ってしまいます。早めにご相談ください。

水虫(足白癬)

水虫は一般的な病気ですが、実は江戸時代まで日本人が水虫で悩まされることはなかったといわれています。
水虫は明治になって外国から入ってきた”輸入感染症”なのでしょうか?
そうではありません。外国から入ってきたのは”靴の習慣”であって、水虫の原因である”白癬菌”ではありません。
もともと革靴は気温が低めで湿度も少ないヨーロッパで広がりました。日本は裸足に草履だったわけです。それが洋装にあわせて革靴を履くようになってから”水虫”になるようになったわけです。
水虫の原因である”白癬菌は”真菌、すなわち”かび”の一種です。高温多湿で繁殖しやすいのです。日本の夏に革靴で過ごすと、靴の中は湿度90%を超えるといわれています。温度は体温とすると36度になります。水虫になるのは、”靴の中の環境問題”といってもよいでしょう。風通しの良い靴をはいたり、乾燥した靴とローテーションしたり、ソックスを吸湿速乾のものにしたりといった工夫も大事ですね。
水虫の発疹の形には様々な種類があります。まず主に指の間の皮がむけているもの。もっともよくみられ、かゆみを伴うこともあります。次に指先や土踏まず周辺に小さな水疱ができるもの。これもかゆみが伴うことが多いようです。そして踵の角質が厚くなって、ぽろぽろと向けてくるもの。かゆみは伴はず、高齢者によく見られます。白癬菌は皮膚の角質の成分であるケラチンを好むため、角質の厚い部分に増殖すると考えられます。また水虫が爪に感染したものを爪白癬(爪水虫)と言います。爪白癬になると、爪が厚く白くなり、もろくなっていきます。
抗真菌薬はよく効くものが開発されていますが、爪に入ると治すのが難しくなります。早い段階に外用薬で治療しましょう。重症になると内服薬の適用になります。内服期間は原則3か月です。お早めにご相談ください。

帯状疱疹

帯状疱疹の原因は、子どもの病気として知られる“みずぼうそう”と同じ水痘帯状疱疹ウイルスです。一度みずぼうそうにかかると免疫ができますが、ウイルスは症状が消えた後も体内に残り、神経節の中に居座り続けます。そして年をとったり、心身に強いストレスがかかって抵抗力が低下し、免疫が効かなくなると、ウイルスが再活性化します。体の片側に潜んでいた神経節からその神経支配領域に沿ってウイルスが移動し、帯(おび)状に発疹があらわれます。
みずぼうそうは特に痛みはありませんが、帯状疱疹は神経に沿って出てくるので体の片側のチクチクした痛みから始まります。数日後には痛む個所が赤くなって水疱(水ぶくれ)となります。痛みに特徴ある発疹が加わったら、早めに皮膚科を受診しましょう。
治療開始が遅れるとピリピリとした痛みが後遺症として残り (帯状疱疹後神経痛と呼ばれます)、長期にわたり痛みが続くこともあります。早めの治療が大事です。
また、50歳以上の方には帯状疱疹の予防ワクチンの適用があります。あらかじめワクチン接種しておくのもよいでしょう。クリニックでご相談ください。

院長
石地 尚興
診療内容
皮膚科・小児皮膚科・アレルギー科
最寄駅
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    JR・東急東横線 / 武蔵小杉駅 徒歩6分
診療時間 日祝
10:00~13:00
15:00~18:30

平日の受付は18:30までにお願いします。
◎:土曜午前の診療は9:00~13:00となります。
休診日:水曜、土曜午後、日曜、祝日

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